2020年03月14日

「耳をすませば」受験と恋と自分探し

こんばんわ。ついに佐賀県にもコロナ感染者がでて来週再開予定の県内の休校期間がのびてしまいました。まあ、しょーがないですかね?disease いっきゅうはとりあえずいつもどうりやっています。と言いますか春季講座前倒しです。高校・中学準備講座もやっています。理由は前回書いた通りです。でも地域の感染の拡がりを注視しながら、休講も視野に入れつつではありますが・・。


さて、受験期なかなか投稿できなかったので、書きたいこと溜まっています。またいろいろ好き勝手に書いてみようと思います。とりあえず佐賀ファンブログということで、ご当地ネタ。というわけで、地元図書館から借りた映画や本の紹介ですかね。(まあ、これしか無いのですがdespair )武雄図書館も借りられるそうなので、足を延ばそうかな?で今回は、ジブリ(やっぱりまたか・・)の「耳をすませば」紹介です。去年借りてみたのでおもいだしつつ・・・。


柊あおいの少女漫画が原作
スタジオジブリ 近藤喜文監督作品
1995年7月15日封切り


14歳女子中学生の”恋に受験に自分探し””の胸キュンアニメです。中学校の頃の恋はなんかぎこちないし恥ずかしいし、めったに成就するもんじゃないですよね? さすが少女漫画見事に屈託なく成就させてしまってます。happy02

まあ、中学生のたわいもない恋愛ストーリーなんですが、何がすごいって、日本一いや世界一のアニメスタジオのNO1の描き手だった近藤喜文の
唯一無二の渾身の作品なんです!時代背景は1990年代の東京都、多摩市・日野市・武蔵野市などにニュータウン。当時の時代風景が詳細に描かれています。雫が電車に乗ったり、走り回ったり、自転車で相乗りする街角は、本物の映像よりリアルな感じがします。ああ・・こんな街たしかにあるよな~。主人公の雫の公団住宅の間取り日常品の細部まで、生活感活き活き描きこまれております。

監督の近藤喜文は作画の天才で「火垂るの墓」「となりのトトロ」制作時、高畑勲と宮崎駿の2大巨人から、近藤喜文さんを取り合いなった話は有名です。両巨匠どちちらも近藤氏がいないと、制作をやめる!といいだしたらしい。結局、困った鈴木敏夫プロデューサーが、「宮さんあなたは絵が描けるから、高畑さんのところでやってもうらうしかない。」といって説得したらしいけど、宮崎駿はずっとそのことを根に持ってたらしい。(近藤さんは残念なことに47歳の若さで急逝された。「火垂るの墓」はアニメ史上最も美しい作品だと吾輩は思います。(「火垂るの墓」作品については、いつかブログに書くつもりです。)その葬儀の追悼の言葉で宮崎さんは「トトロVS火垂る 近藤争奪戦」の恨み節をぶちまけたらししい。(笑)いやでも実にいい話ですよね。あの天下の宮崎駿に・・・ね?こんな名誉なことはないですよね。


ここからちょっとだけネタばれです。
主人公の月島雫は本が大好き。図書館からたくさん本を借りて読んでいます。ひとつ気なることが・・借りた本の図書カードにいつも天沢聖司という名前があるのです。どういうひとなんだろう?といろいろ想像してみます。で、その人が同じ中学の同級生でああることが判明します。しかもイケメンでちょっと意地悪。(いかにも少女漫画) お互い意識しながらぎこちないながらも、しだいに仲良くなり交際をはじめます。二人は受験や将来のことをはなします。彼は受験せずバイオリン職人になるために、イタリアに修行にいくのだといいます。それを聞いた雫は自分には何もない、と、落ち込みます。しっかりとした彼氏に自分は釣り合わない!と自分探しをはじめちゃいます。で、自分が一番好きなことである物語を書きたいと、小説を書き始めるのです。受験期真っただ中に。当然成績は急落。当然、家族が心配します。何やってんの?!家族会議です。でも、雫は、受験も頑張る約束で必死で小説を書きあげます。(できたのがあの『猫の恩返し』にそっくりでなんです。)なんだかんだあって、エンディングなのですが、恥ずかしいくらいのハッピーエンドでなのです。ただ、この好感度抜群のさわやかイケメンは、あの図書カードは雫の気を引く作戦だったことを話してしまうのです!(ユーミンの歌の「まちぶせ」の男バージョンか!)。あれ~と、見るものはちょっとがっかりさせられます。プロポーズしておきながら、こんなこと話してしまうあたりなんて野暮な・・・。でもしばらくして、はやり聖司は正直者でいいやつだとおもいました。

さて、なんと「耳をすませば」の実写版、あれから10年後が撮られるそうです!! ですが、熱狂的な「耳すま」ファン(ジブリでこれが一番好き!という人が少なくない。)はやめてくれ~とぼやいてるようです。吾輩もそうおいもうます。なんて野暮なことを!と。

では、また~。wink

  


2019年12月31日

「この世界の片隅で」:映画を体験する

宮崎駿さんは対談で、ある学生から「トトロを10回以上みました!!」といわれたことに対して「同じ映画なんてそんなに何回もみるもんじゃない。」とおもったそうです。隣のトトロでいいたかったことはむしろ逆で、家の中でテレビやアニメを見るより、サツキやメイのように「もっと外に出て本物の自然と触れ合いなさい。」と言うことだったらしい。なんとも皮肉ですね。我輩もたまに塾生に「ゲームやSNSばっかりやるんじゃないよ」などとオジサンのお説教をいたしたりしてます。

でも、我輩はこうもおもいます。映画を観ることで、一個人では体験できないものを経験できないものを経験できると思っています。我輩、もう若くもないですし(無限の未来は遠い昔のこと。)今まで、そしてこれから自分が経験するであろうことは、そのへんの猫とそれほどかわらないんじゃないかって思ってしまっているのです。でも映画ではいろんな人の人生を体験できる!と、そう思って映画を観ると、以前よりよりずっと深く映画を受け止めよられるようになったとおもいます。限りなくゼロパーセント近く会うことができないような人物、ストーリー、風景を体験できる。もちろん映画の体験と、ほんものの実体験とは絶対的に違いはある。(ないと困りますもんね。時々怪しくなりますが・・。笑) いい映画を見た後、本当に旅をした思い出のようにずっと残ります・・その時の感情風景のずっと残るような・・。宮崎ジブリアニメ作品でも、普段忙しくあくせく生活している中で、忘れ去ってしまった「異界の存在」を、まざまざと私たちに再現してくれています。

さて、おとといの日曜ようやく観た噂の傑作。この押し迫った年末+受験期に、疲れ果てた我輩にブログを書かせようとする映画。(観た人からは何をいまさら!と、いわれるでしょうが・・)観て以来ずっと余韻に浸っています。ただ、いつものようなストーリーの再現は止めときます。(余韻だけで書いてるので、ぜんぜんまとまらないだろうから・・。)ただ、この映画で経験し感じたことだけをとりとめもなく・・・。

「この世界の片隅で」
片渕須直監督・脚本
こうの史代:原作
MAPPA制作の長編アニメーション映画。
2016年公開
音楽:コトリンゴ

この映画では、”すずさん”という、ボケボケ天然のほんわかしたじつに可愛らしい若い女性と彼女につながる愛すべき善良な人々の戦中の日常(舞台は呉と広島)を繊細で柔らかくあたたかみのあるタッチのすばらしいアニメーションで描かれています。以下が、この映画で彼女たちが体験したことを目の当たりした吾輩の映画体験です。

戦時の食糧不足ので毎日の食卓を家族の為になんとか工夫してこさえるすずさん。物資の無い暮らし。絶望しかないような時代にすずさんだちのニコニコ楽しくやっていく暮らしぶりが実に細やかに描かれ言います。「今日は爆弾が落ちで魚なようけあがったよ・・ははは。」しかし、戦火が本土に移るにつれて、日々刻々、すずさんたちに際限なく容赦なく降り注ぐ爆弾の雨。いや、ほんとに怖かった・・・。アニメーションが現実を超えるリアリティをもって観るものを圧倒します・・。ほとんどの平凡な日本人があの時代に生まれた為に、すずさんたちと同じような経験せざる得なかったことに、今の平和で時代をのほほんと生きているわが身を振り返ると、なんて中身がないのだろうと・・・sad

でも、この映画 実は現代を描いているようにもおもうのです。コトリンゴの音楽はまさしく、2000年以降の今の音楽です。「悲しくやりきれない」は昭和の唄ですがその音色とアレンジはまさに今の音楽です。この淡々とした電子音楽が伴奏するすずさんの時代を描くことによって、”今”が影絵のように映し出されている、と・・。現代の視点から観みると、戦時中のすずさんたちの暮らしぶりこそ、理想郷に思えてくるのです。これは痛烈なアイロニーですね。あの絶望の時代から人々はなんとか助け合って作ってきたのが今の日本の社会。貧しく大変な時代すずさんたちが持ってた大切なもので、それがいつのままにか見失われてしまった。絵が大好きなすずさんが利き腕を爆弾で失って、残された左手で描いたような世界が現代なのでは・・と。そう思ったのは、今年観た深く印象深かった映画「聲の形」:伊図館にあります。「きみはいい子」「永い言い訳」を思い出したからです。(すべて監督は女性)これらは現代の日本を生きる傷つけたり傷つけられた人たちを切実に描いています。すずさんらがもっていたものを見失ってしまったものたちはをそれを取り戻そうともがきます。「この世界の片隅で」は今を描いた優れた映画は合わせ鏡のような関係にあると思います。


「悲しくてやりきれない・・・このかぎりないむなしさに救いはないだろうか・・?」 


「あるですけぇ。」とすずさんがいってるような気がします。






すずの声優はのん(能年玲奈 あまちゃんで有名)。彼女の声の演技なくして、この映画の成功はありえなかったでしょう。いや、ほんとすごいです。この世界の片隅でのんの宝石のような才能をみつけました!

実はこの映画の完全版「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」が今、全国で順次上映されています。2016年公開作品の予算(多くはクラウドファンディング)の都合で、30分カットを余儀なくされてたらしい。それが映画の大評判と興行成績の成功で、完全版が再び上映されるようになったのです。遅れてレンタルで観た我輩にとって映画館でリアルタイムで観れる絶好のチャンス! 佐賀は2020年1月31日~(金曜日)でも、受験期のピーク!どーしよ(*_*;。 受験生でない塾生に折を見て勧めたいです。伊万里市民図書館もDVD設置は是非是非!!

では、よいお年を。.happy02








追記:戦時中、伊万里の浦の崎港の「浦田造船所」に対しても空襲があったらしい。その浦田造船所は戦後長らく廃墟のままだったが、つい数年前に保存か撤去か議論された末、取り壊された。吾輩、写真も撮りに行ったがその写真がみつからないです。残念無念。その代わりではないですが、長崎県の川棚町にある、「魚雷発射訓練所跡」写真が見つかりました。ここは文字通り「世界の片隅」をほうふつさせるような戦争の傷跡の原風景がいまだに残っています。そこはまさに世界の終わりの場所のような空気感が漂っているのです。



川棚魚雷発射訓練所跡