2015年04月20日

道草と日本語

大学生の頃、明治の文学を夢中で読んでた時期がある。

夏目漱石、森鴎外、樋口一葉、泉鏡花 ・・文章が凛としている。文字の連なりが音楽的で、視覚的にも美しい。読んだ後、背筋がピンと伸びたような気になっていた。つまり文体に品格があるのだ。

漱石の『道草』の一文 「御前は必竟何をしに世の中に生れて来たのだ」 胸にドスンと来る表現だ。

道草と日本語

日本語の特徴は漢字かな混じりにある。表音文字と象形文字で名詞 ・動詞・形容詞・副詞などそれ自体意味の有るものを漢字にして、意味のない助詞などはひらがなにする。そうすることでバランスが取れて、ずいぶん読みやすくなる。 (ひらがなや漢字ばかりの文章ほど読みにくいものはない。) さらに用途に応じてカタカナまである。しかもニュアンスによって漢字ひらがなカタカナは自由に組み替えられるのだ。表意文字である漢字ばかりの中国語や表音文字の英語に比べなんと機能的なんだろう・・・。このような表記システムを持った言語って他にあるのだろうか?それは明治期の言文一致運動によって確立されたのだろう。


道草と日本語


明治期は口語と文語が一致しておらず、漢文や文語体と口語のハイブリットの実験過程である。それ故に言葉に対する緊張感を感じる。そして出来上がった明治期の文体には品格を備わっているのだ。

最近の日本語はもう出来上がり過ぎてたせいなのか、平板で緊張感がなく、そういう魅力が薄れてるような気もしないではない。

道草と日本語

再び『道草』 漱石自らからの実体験を小説にしたといわれる。
「世の中に片付くなんてものは殆どない」なんて凄みのある台詞だ。 


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Posted by いっきゅう  at 08:45 │Comments(0)いっきゅう文庫読書

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