2012年08月15日

英語で読む万葉集

中学生に国語を教えるようになったせいもあって、盆休みに『万葉集』関連の本を
読んでます。なかでもリービ英雄氏の『英語で読む万葉集』は面白いですよ。happy01

万葉のことばで詠われた『古代日本の自然との人々の心もよう』は、時代と距離を超えて、普遍的な意味を持って英訳されています。万葉ことばのリズム、意味をいかに上手く英単語やフレーズに置き換えるか。枕詞・掛け言葉をどのように適切に処理しているか。それがひとつの見所であります。それはこの著者が日本語で価値の高い小説を書く程の日本語力と知識を持ちかつ教養高い英語力を有していることだけでなく
(必要条件)、さらにオリジナルがもつ世界観をどれだけ忠実に再現できる文学力があって成し遂げられたもの(十分条件が満たされた)のだと思われます。

でも英訳された歌だけを読んでいると、そこは古代日本の風景ではなく、どうしてもアメリカの原風景(ヴィムベンダースの映画パリテキサスやアンドリューワイエスの絵画のような・・。)が浮かび上がってくるように思えます。やはり言葉の土着性はどうしても翻訳できないのでしょうか・・・?特に日本語の漢字かな混じり文、そのもの自体に織り込まれるイメージとリズムは翻訳不可能なのかもしれません。

私も、かつて、リービ青年が、奈良・飛鳥の古代路を万葉集の文庫本をポケットに歩き周ったように、まあそれほど本格的ではないけれどhappy02 、肥前の古代路を周って、其処ここにある、古代の歌の歌碑を見つけては英訳に挑戦してた時期があるのです。

そのうちのひとつは鏡山の佐用姫伝説にまつわる歌

ゆく船 を 振り留みかね 如何ばかり 恋(こほ)しくありけむ 松浦佐用姫(まつらさよひめ)
How sad she was...no matter how many times she waved her sleeve, she couldn’t stop the departure of the vessel." -- By Yamonoueno Okura

また別のひとつは杵島の歌垣山にて、あられふる 杵島が丘をさかしみと 草取りかねて 妹が手を取る。
“When I climbed up the steep Kishima Mountain, I failed to grasp the grasses and I happened to take my sweetheart’s hand.”

拙訳はほとんど、英語で解釈した文に終わってますが・・・。sad

佐賀の田園地帯をドライブしてると、万葉の時代の風景もこのようだっただろう・・・。そして、万葉集のことばはまさにこの田園風景を描写するのに、なによりもふさわしい・・・と思えてくるのです。
happy01


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Posted by いっきゅう  at 17:46 │Comments(0)英語でふるさと案内

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