2009年01月23日

【挑戦する英語】

オバマ大統領の就任演説、選挙戦の時のような派手なスローガンを使わず、地に足の着いた落ち着きのある演説でした。今、現実に大統領になったんだ、という姿勢が現れてました。彼のスピーチ草稿を書いたのは、27歳の無名の若者だったそうです。スターバックスで書いたそうで、なんだかいい意味でフランクなアメリカらしい話だなと思いました。さらにそのことは、アメリカの「スピーチ」に対する文化の底の深さを感じさせます。政治はなんといっても言葉ですね。人の心に訴えかける力のある言葉、すなわち、【スピーチ】は人を、国を、そして時代を動かすのだと、オバマ新大統領の就任演説を見てあらためて感じました。

というわけで、過去英語で行われた名演説集をいろいろと読んでいます。そのうちのひとつ・・・



それぞれが大変興味深くて、すばらしいものばかりのです。今から時折、すこしずつ、ここにご紹介していきます。(英語のオリジナルのもつリズムやトーンは、日本語に訳すると損なわれがちなので、要約だけにしました。)まずは、JF ケネディとウィストンチャーチル。両者の就任スピーチはもう演説の古典として、歴史的に高く評価されています。両者とも時代は変わりますが国家の非常時に、米国、英国とそれぞれの国のリーダーとなりました。ケネディはソビエトとのまさに戦争前夜を体験しますし、チャーチルはナチス・ドイツとの戦いに挑みます。彼らの就任演説は、まさにそれこそが、国を率いるリーダーの言葉でありました。読み進んでいくうちに私は両者の就任演説に共通するパターンがあるのに気がつきました。

①最初に、人々にこれから被るであろう、困難に対する覚悟を求めます。言いにくいことを先に言う。Share of responsibility
②人々の努力に報いるとこを、はっきりと約束します。Commitment
③さあ、ともに前進しよう!呼びかける。Encouragement

■緊急事態なのでものすごく緊迫感をもって、国民に向かってこれから起こるであろう困難・試練に覚悟を決めるように厳しいことをいいます。国民として責任を引き受けるようにいいます。

ケネディ:「国民や自由主義陣営の人々に。国に何かをしてもらおうと要求するのではなく、あなたたちが祖国アメリカや自由を守るために何が出来るか、ということを追い求めなさい。」

And so, my fellow Americans, ask not what your country can do for you; ask what you can do for your country.My fellow citizens of the world ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man.

チャーチル:「私は血や労苦涙や汗しかもたらすことが出来ない。我々の前には未曾有の試練が、長く続く苦闘や苦痛が、横たわっているのだ。」

I have nothing to offer but blood, toil, tears, and sweat. We have before us an ordeal of the most grievous kind. We have before us many, many months of struggle and suffering.

■その後、両者とも人々にその苦労に報いる約束をはっきりと述べます。

ケネデイ:「アメリカそして世界のみなさん、我々があなたたちに求めるものと、同様の高い水準の強さと犠牲を我々に求めてください。」

Finally, whether you are citizens of America or citizens of the world ask of us here the same high standards of strength and sacrifice which we ask of you.

チャーチル:「我々の目標は、なんなのだ?と諸君は聞くであろう。私の答えは「勝利」である。あらゆる犠牲にを払っても、あらゆる恐怖をものともせず、どんなに長い道のりであろうと・・・」

You ask, what is our aim? I can answer in one word. It is victory. Victory at all costs - Victory in spite of all terrors - Victory, however long and hard the road may be, for without victory there is no survival.

■最後は、さあ いっしょに前進しましょう!と力強いメッセージでしめます。

ケネディ「良心を確かな報いとして、ともに愛する祖国を導くために前進しましょう!」

With a good conscience our only sure reward, with history the final judge of our deeds, let us go forth to lead the land we love, asking His blessing and His help, but knowing that here on earth God's work must truly be our own.

チャーチル「私は、前向きな力と希望のもとこの仕事を取り掛かります。さあ 共に力をあわせて前進しようではありませんか。」

I take up my task in buoyancy and hope. "Come then, let us go forward together with our united strength."

http://www.americanrhetoric.com/speeches/jfkinaugural.htm

http://www.historyplace.com/speeches/churchill.htm




Posted by いっきゅう  at 12:55 │Comments(0)

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