2010年05月05日

端午の節句とたけくらべ

樋口一葉の『たけくらべ』(1895年1月 発表)を読んだのは遠い遠い昔のことだ。そのとき受けた感動は今でも忘れられない。リズムあるクラシカルな文体に魅了され、日本語のかな漢字混合文の素晴らしさに気づかされ、ここにほんとうに豊かな日本語がある、と感銘を受けた記憶がしっかりとある。

『たけくらべ』の舞台は廓の町、吉原。思春期の女の子と男の子たちの短い期間の成長の物語である。いずれ遊女となる水揚げまじかの美登利は勝気で自由闊達。そして美登利がひそかに恋心を抱く同じ学校の男子生徒はお寺の僧侶の息子、真如である。彼は、内気でクソ真面目の今で言うところの草食系男子。およそなにもかも正反対二人が互いに意識し合いながら、しかし、ぎこちない空気に気まずくなる。美登利は自らの運命と相手の身分の違いを分かっており、儚い恋と、心をいためる・・・。

一般に男子と女子では、女子の方が精神的成熟が早いと言われているが、うちの塾生はどうなんだろうか・・・。(まぁ、私などは同年代の女性には死ぬまで追いつけないだろうと、思っているけど・・・。) 総じて言えば、佇まい、授業態度、ものの言い方などは、やはり女子生徒が、きちんとしててずっと大人である。一方、話す内容は男子生徒は現状分析に関して鋭いことを言う、冷静である。結構、いろんなことにしっかり目を配っていたりしてるもんだな、と感心させられることもある。

男女差についてはバイオロジー的差異や社会制度の観点からいろいろ議論されている。英語の読解問題のテーマにもたまに登場する。しかし、ジェンダーフリーの観点からすれば、男子対女子の二項対立の構図でものごとを推し量るのは古い時代のステレオタイプと批判されるかもしれない・・・。

もし女性がいつか日か、国際政治勢力のマジョリティになったとすると(例:現代の政治リーダーの男女の比率がそのままひっくり返った世界。)その世界はどうなるだろうか?戦争・貧困は少なくなるのだろうか?まったく違う問題が新たに浮かび上がるだろうか?あんまり変わらないだろうか?

ああ、そうだ、今日は端午の節句、男の子の日なのだ。とにかく、男子よ、がんばれっ!


端午の節句とたけくらべ



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Posted by いっきゅう  at 12:31 │Comments(0)いっきゅう文庫

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